長野市青木島の障がい者A型就労支援施設『株式会社なから』です。
自分はこちらで働くようになってから、体調も安定し、趣味の書き物についても少しずつできるようになってきました。ですので今回『も』、ちょっと変わったブログ記事を書いていきたいと思います。
人間社会において、消してネタ切れにならない話題とはなんだろう?自分はそれは食べ物だと考えた。人間というのは幸せでも苦しくても腹が減る生き物で、食べ物に対する興味・話題は尽きることがない。グルメ雑誌は毎月刊行され、テレビは特集を組み、ネットニュースでも食べ物のトピックがずらりと並んでいる。
私が長年、心を砕いている食べ物がある。それは唐揚げだ、買うのではなく、作る方の苦心である。そのこだわりについて皆様にご理解いただくため、私自身の生育歴について書こう。
私の母は才色兼備で、何をやっても人並み以上にこなす存在だったが、唯一、苦手なものがあった。……唐揚げである。
母の手作りの唐揚げは……なんというか「むにゅ」っとしていた。
幼い頃の自分は何も感じずむにゅっとした唐揚げと親しくしていたが、ある時、友達の家の手作り唐揚げを食べた時、自分の中の価値観は手遅れなまでに変質してしまった。
それは、今でも脳裏に鮮やかに蘇らせることのできる記憶。——「かりっ」と、していたのだその唐揚げは。一口で全身を衝撃が駆け抜け、上にかかっていた中華風のねぎ入りソースも合わせてどんどんと箸が進み、友達の家族にくすくすと笑われたことまで覚えている。
その後、家に帰り、幼い自分は頭を抱えてしまった。人生観、いや唐揚げ観が変わってしまったのだから当然である。上のような体験を経ても、自分はむにゅっとした唐揚げのことが嫌いになったわけではない。母のことは大切であった。そこから生み出される唐揚げに対しても、幼馴染のように親しくしていた。
けれど、かりっとしたものに出会った自分の方が、彼女彼らと親しく出来なくなったのだ。 私はむにゅっとした唐揚げという概念と離れる時が来たと思い、母の唐揚げが出てきた時に「お母さんの唐揚げ、外と違う」と言った。
食卓に手作り唐揚げが昇ることは、ついぞ無くなった。
それから現在にまで時間が流れた。私は揚げ物が安全に作ることのできるまでに成長した。具体的に書けばでっかくなった。だいたいこんな背景があり、私は唐揚げに凝るようになってしまった。時々作っては、ああでもないこうでもないと自分を批評している。
ネットで検索すれば、唐揚げのレシピは無数に出てくる。
もも肉か胸肉か?液体などに漬け込むか?調味料は?付ける粉は? 揚げる油の種類は? 温度はどうする?レモンはかけるかけない?
膨大な情報が出てくる故に、どのレシピを採用するのか悩む人も多いだろう。
前置きは長くなったが、今日は自分なりに研究して編み上げた唐揚げのレシピについて、皆様にご紹介しよう。
用意するもの
・鶏もも肉(皮付き):600g
・ブライン液(水に塩と砂糖を溶かしたもの)(肉を切る前に作っておく)
水:200ml 塩:5g 砂糖:5g
味付け
・醤油:大さじ1
・焼肉のタレ:大さじ1
・生姜:5gを(ここはお好みで)をすりおろす
・ニンニク:1gほど(ここもお好みで)(すりおろしでもチューブで可)
粉
・片栗粉:必要なだけ
・揚げ油:新しいもの (肉を入れると水位……というか油位が上がるので、揚げ鍋になみ
なみと入れなくても構わない。肉を入れた時、肉全体が薄っすらと油の中に沈むくらいの
量が目安)
作り方
1 鶏もも肉を一口大(計量すると50~60gとなる)に切り、ブライン液へ浸し、ラップを
して冷蔵庫で1時間から半日ほど漬け込む。
2 肉をザルに開けて30分から1時間ほど水気を切る。そこに味付けの調味料を全て入れ、
混ぜ合わせる。そこに片栗粉を投入し、全体になじませる。
(調味料の水分で粉がくっつく)(だまがあっても問題なし)
3 油を160度に熱する。粉を付けた肉をそっと入れて、触らず1分ほど加熱。ひっくり返し
て1分加熱。一度取り出し、油をしっかり切ってから網の上などで少し休ませる。
この間に油の温度を180度まで上げる。二度揚げをする。目安は1分ほど。これも油を
しっかり切ってから網の上などに置く。加熱具合に不安があるならば、今日揚げた中で
一番大きな唐揚げを包丁で切り、中が十分に熱くなっているか確かめれば安心。
4 皿に盛り付けて完成。お好みで千切りキャベツを。
上のようなレシピで作ると、このような仕上がりとなる。
私は生姜の風味が好きなので、多めに入れている。このあたりは好みで調整してほしい。様々な方法を試して、改善していく度に、貴方の中の唐揚げに対する愛着も増していく……はず。
でも、最近は冷凍品もお店のものも美味しい。揚げ物の後の掃除が苦しい人、料理が不得手な人はそれらを使って楽しよう。人生は一度きり「自分が楽しいこと」それが一番大切だ。
今思い起こせば、母はきっと、私や他の兄弟を喜ばせようと。苦しみを押し殺して唐揚げに向き合っていたのかもしれない。その気持ちにも寄り添わず、幼い私は残酷なことをした。
かりっと唐揚げは作れるようになったが、あの懐かしいむにゅっとした唐揚げは今でも作れない。きっと、母を蔑ろにした罰なのだろう。記憶の中の食卓には、あの手作り唐揚げが、寂しそうに盆に乗っている。
少し悲しげな終わりの文章になりましたが、唐揚げは美味しいので心配しないでください。自分が上のようなとんちきな文章を書いても、『なから』の皆様は笑顔で受け入れてくださいます、ありがたいことです。
近くに川や山など自然も多く、室内は明るく清潔で暖か。落ち着いた環境で作業に取り組める楽しい場所です。
皆様も見学などお気軽にどうぞ。電話などによる事前の連絡をお願いします。
電話番号はこちら→026-254-7523
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
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